Bassline   (Free.VSTi)
前にレビューしたUltraSoniqueで良い印象が強いEVMのベース専用音源です。
いいですよね、ベースシンセという思想が(漠然)。
ベースってどんなシンセでも一応出来るようで、しっかりした低音でかつそれぞれの好みに合うものを見つけるのは案外難しいと思います。

で、このEVM Bassline。
基本はサンプルプレイバックでして、堅実な仕様のフィルター等で加工して音を作ります。
プリセットを一通り聞いてみると、どれも音が良いです。
あまり飛び道具的な要素はなく、そういう意味では優等生で、整っています。
一般的なエレキベース(ピック/スラップ)、アコースティックベース、シンセベースと揃っていてバリエーションは十分。
音色のリアルさもなかなか。
プリセットを呼び出しただけですぐに使えてしまいそうなのは、サンプルプレイバックの強みですかね。

とは言ってもしっかりローパスフィルター(ボタン切り替えでおそらくハイパスになる)やADSRがあって必要最小限の音作りは可能です。
octスイッチでオクターブが切り替えられたり、このあたりは非常に素直な作りでわかりやすいです。
プレイヤーの視点に立った良いインターフェースではないかと。
個人的な意見を言うとすれば、フィルターは利きが強力な代わりにカットオフを下げたらどんどん音が消えてしまう。
せっかくベースシンセなのだから「ベースに重要な帯域」で繊細に利いてくれるフィルターだったらなお良いのではないかと思いました。
まぁ曲に合わせての補正ならばミックスの段階でホスト側からEQ処理してやったほうが現実的ですけどね。

さて、音色がなかなかリアルで音作りも出来るぞ、と言ってもベースで重要なのはやはり「しっかり低音が出るか」でしょう。
上辺の綺麗さだけで実際には全くベースの役割を果たせないPCMのエレベには飽き飽きです(ちょっと大袈裟に)。
この低音をテストするには、何よりも実際に曲で使ってみることだと思われます。
いつものように簡単ですがサンプルソングを作ってみました。

●EVM Basslineサンプルソング(シンセのシーケンスはUltraSonique、DTMマガジン「スパテク」よりドラムループ使用)

最終的な感想ですが、アクの強いシンセベースでもなくリアルさ重視で低音の足りないリアルベースでもないという感じで、素直に言えばまぁ「使いやすい」。
フリーウェアのベースシンセというとTB-303クローンが多い中でこいつはかなりオールマイティなので、使える場面は多いでしょう。
負荷も軽く扱い易い優秀なプラグインですが、その代わり音色エディットも最小限でシンセとして音の独自性という意味では少々物足りないかもしれません。

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