FREEAlpha (Free.VSTi) |
数々のシェアウェアプラグインを開発しているLinPlug社のVAシンセであるAlphaの機能限定フリー版。 インターフェースはわりと地味ですが、堅実な造りです。 基本的にはシェアのAlphaというだけあって総合的に優れているシンセだと思うので、細かく見ていきたいと思います。 まずパネルの外観は、無機質でただツマミが並んでいるという印象もあります(上の画像は原寸大)。 しかし実際に各部をいじってみると、非常に合理的に作られており、このシンセのパラメーターの柔軟性から考えればよくこれだけツマミの数を絞り込んだなという感じです。 オシレータはふたつあり、それぞれで波形がふたつまで選べるのですが、波形選択はクリックで一覧を呼び出して行う形式となっておりパネルのスペースを占有していません。波形ごとに音域の選択も可能。 さらに波形A/Bのバランスもツマミで調整でき、そのオシレーター間のバランスをさらに割合で調節することが可能。 少々わずらわしい説明になってしまいましたが、このオシレーター部だけでも実は結構な柔軟性を持っており、見た目のシンプルさから受ける印象よりも様々な音を作り出せるという感じでした。 その他のパラメーターは、定番でわかりやすいマルチモードフィルタやアンプエンベロープ、テンポシンク可能なLFOやコーラスエフェクトなどです。 この辺はすごくシンセ使いにとって親しみがあるし合理的な考え方ですね。 そしてもちろん無視出来ないのはLinPlugお得意のモジュレーションマトリクスがしっかり装備されている点です。 これを使うと様々なソースでAlphaのパラメーターを制御することが可能に。 LFOでフィルターカットオフを、なんて定番の設定からアフタータッチでレゾナンスをなんて設定まで色々と出来るので音作りの可能性が広がります。 さらにここで私が特筆したいのは、モジュレーションマトリクスがパネル中央に配置されているということ。 使ってみるとわかるんですがこれは非常にわかりやすく、様々な信号の流れを中央で捉えられるので扱いやすいです。 もしこれが右下とかに配置されていたら、目線や思考が行ったり来たりして疲れそうです。 同時にフィルター・アンプなどのツマミ群の間のスペースをほどよく空ける役割も果たしており、視認性の良さに貢献しています。 多少長々書いてしまったかもしれませんがこのAlphaのインターフェースの合理性を私は評価します。 インターフェースについて一通り語ったところで、肝心の出音について詳しく突っ込んでいきましょう。 とりあえずの第一印象は、整然として現代的なデジタルシンセといった感じ。 アナログ的なクセとアクの強さはさほど感じられません(もちろん主観ですが)。 音自体の迫力も、あまり感じられず、むしろ音の線は細いかもしれませんがデジタルとしてキレイだし使いやすそうなサウンド。 おそらくミニモーグのようなピュアアナログよりももう少し最近のシンセを意識して作られたんだと思われます。 音作りに関しては、先程説明したようなパラメーター群で追い込んでいくわけですが、まずオシレーターで選べる波形の種類が多いです。 波形ごとに結構キャラが違うしそれを4種類重ねられるので、出せる音の幅は広いと思います。 プリセット(秀逸なものが多いです)もたくさんあって無理に自分で音作りしなくともリード・ベース・パッド等一通りOK。 あえて言えば過激な倍音加算が無い分、打楽器などの音色は苦手。 しかしいわゆるよく使われるアナログシンセ的なリードやベースだったら、大体これひとつでカバー出来てしまうかもしれません。 あ、書き忘れていましたがモジュレーションマトリクスで適用値(かかりの強さ)を設定出来ますが、ここでマイナス値も選べる仕様もナイス。 一通りいじってみての印象は、日本人のような真面目なシンセ(?)。 インターフェースも音も飛びぬけて派手な要素はありませんがとても堅実です。 シンセバリバリのテクノやトランスに使うよりも、ポップスなどで「いわゆるシンセらしいサウンド」が味付け的に欲しい時に登場させてやると手軽だし癖がなくて馴染みやすいので良いのではないかと思いました。 フリーウェアとしては高い完成度で守備範囲も広いので持っておいて損はないです。負荷も軽め。 ●サンプルソング(ドラム以外FREEAlpha、外部エフェクトはディレイ・リバーブ) |
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