Iblit    (Free.VSTi)
すっきりして清潔感のあるインターフェースの、アナログモノフォニックシンセ。
モノシンセで気になるのは、1音しか出せないということでひとつの音にしっかりと存在感があるかどうかや、1音で多彩な表現をするために充実した設定項目があるかなどです。

基本スペックは、3オシレーターでエンベロープ付きのフィルタがひとつ、ADSR方式のアンプエンベロープがひとつ。そしてオシレーター&フィルタカットオフにそれぞれひとつのLFOといった具合。
オシレーターとは別にノイズジェネレーターなんかもあります。
3オシレーターのモノシンセと言われるとなんとなくミニモーグを連想しますが、このIblitで選べる波形はSAWとPULSEのみ。
しかしパルス幅が可変ですし、3つを組み合わせられるので淋しい印象はありません。

プリセットをざっと見ていくと、ベース系が多いです。
その一方3オシレーターを活かし擬似ポリフォニック化したようなパッドまであり、なかなか楽しめる内容。
出音の印象としては、エイリアスノイズの少ないハイファイな音で、アタック感もしっかりありコシが感じられます。
多少ツルツルとしてプラスチック的で、チープという印象もありますがこれはハイファイの裏返しとも受け取れるように思います。
良くも悪くもデジタルの方向ですね。
 オシレーター波形がSAWとPULSEだけというのはどうなんだろうと最初思いましたが、フィルターがかなりしっかり利くので力強く音作りが行えます。
フィルタはローパスとハイパスの選択式で、倍音の少ないサイン波や三角波の雰囲気を出したい時にはローパスをかけてやると有効。
強力故に、カットオフを絞りきるとほぼ完全に音が消えたりレゾナンスを上げるとかなりの音量で発振したりするので扱いには多少注意が必要かもしれません。
フィルター用のLFOでテンポシンクが出来れば至れり尽くせりでしたが、そこはまぁオートメーションでも書きましょう。


オシレーター・フィルターなど基本的なものしかない代わりにそれぞれがしっかりと造られているのには好感が持てます。
インターフェースは見やすく扱いやすいですし、全体的によく出来たソフトシンセだと言えるでしょう。
奇想天外な、奇抜な音…というよりも、シンプルなベースやリードで小奇麗な音を出したい時なんかに使えそう。
利きが滑らかなポルタメントや、ノートが重なった時にエンベロープをトリガーするかどうかの選択スイッチもあるので、モノシンセ特有の奏法にもばっちり対応出来ます。
欲を言えば、ポルタメントスピードはもっと遅く出来れば面白いところです…あと、音のリリースで「プチッ」というノイズが入る場合があり、対処法が見つけられませんでした(汗)
 個人的に使いたいと思うのは、やはりシンプルなベースやリード。場合によってはディストーションやアンプシミュをかけてワイルドにしてやるなんてのも良さそうです。

●サンプルソング(ドラム以外Iblit、外部エフェクトはディレイ・リバーブ)

変わったモジュレーションやエフェクトは装備していないシンプルイズベストなこの一品。
扱いやすいし負荷も重くないので、持っていると案外重宝するかもしれません。
ポリフォニックで鳴らしたい場合は、同開発元に「polyIblit」なるものがあるのでそちらを。

Home    Columnへ戻る

(c)2005 kuro All Rights Reserved.