実践音色作り!

レイヤー技ゴージャスリード

レイヤー技ゴージャスリード
さて、今回は少し方向性を変えて、プリセットからの音作りをやってみようと思います。
プリセットとは最初からDreamStationに用意されている音色のことですね。
ゼロからの音作りを学ぶことも知識として大変有意義とは思いますが、実際の制作となると
「作曲のインスピレーションを逃さないままささっと音色を決めたい」
「どういう音色が合うか考えるのが面倒臭い。用意されているものを使って何が合うか試したい」
「締め切りが近い、ゼロから音を作る時間が惜しい」

こんな場面も多々あるものです。
はっきり言いますが、プリセットを使うことの最大の利点は「手間が省ける」ことだと思います。
もっとズバリ言うと、ラクができるということ。
ラクをしたいとか大声で言っているとなんだか怒られそうな気もしますが(笑)
ツールを使う上で、手間なんてかからないほうが絶対にいいんです。
手間と時間を省けることは、実はとても重要なことなのです。
 そしてラクができるということ以外にも、他人が作った音を使うので思わぬ刺激が得られたり
曲の可能性が広がることもあります。

前置きが長くなりましたが、そんなこんなで現実的に考えた時プリセットというのは非常に有難い存在なんですね。
気に入った音色が見つかればそのまま使ってもいいし、音作りのテンプレートとして利用してもオーケー。
「本当にこの音色でいいのか」と拘っていく気持ちを忘れなければ、プリセットをそのまま使うのも何も恥ずかしいことではありません。
今回は、プリセットをテンプレートとして利用するのと、ちょっとした応用をやってみたいと思います。

↓今回のセッティング




さて実際の音色作り。
まずは、プリセットを選ぶ…といきなりいきたいところですが、一呼吸おいて。
一番最初に「自分が求めているのはどういう音色か」というイメージをなるべく固めておきましょう。
プリセットは数がありますから、漠然と選び始めると「あれもこれもなんとなく合うような。そもそもどういうのがいいんだろう」
なんて事態に陥りがちです。
同じプリセットでも、プリセットまかせにしてしまうのと、自分にしっかりとイメージがあってプリセットを利用するのとでは結果完成する曲の出来が違ってくると私は考えます。

今回は、ロックなドラムとディストーションギターなんかが登場する曲にしようと思います。
そこでリードをDreamStationに担当してもらうわけですが、求める音は「ヌケがいい」「音の芯が太い」「ゴージャスでインパクトが強い」といった感じ。
要は、激しいオケに負けない強いシンセリードが欲しいと。
ゼロから作ることを考えてみてください。めんどいですよね。
はい、プリセットいきましょう。

リード系の音色は「Synth」と頭に打たれておりコテゴリー分けがされています。
鍵盤で弾いたりシーケンスで鳴らしながらカーソルキーで次々切り替えていけば快適に選べるでしょう。
いくつかイメージに合う音色を見つけましたが、まずは「Synth: 01-Solo 1」でいってみます。
※「Synth: 01-Solo 1」単体ではこんな音
この音にした決め手は、オクターブユニゾンでしっかりした厚みを持っていることと、デチューンで艶のある勢いを感じる音なこと、そしてアタック感がしっかり作られている点などです。

ということで、これで一件落着でも別に構わないのですが、これだけでは講座として全く芸がないのと、まだイメージとしては派手な音が欲しいということで
さらにもう一台DreamStationを立ち上げ、リード音色を重ねてみたいと思います。
重ねる上で大事なのは、やっぱり狙いとイメージをしっかり持つこと。
今回は「Solo1」音色にさらにゴージャス感を足しつつ、音の芯をさらに増す音色を探したいと思います。
また「Synth」カテゴリーからサササっと探していくだけです(別に、他のカテゴリーから探したっていいですが、手間削減が大きな意味でプリセットを使っているため、近いところから探します)

「Solo1」と重ねて色々試聴していき、「Synth: 05-Lead 2」が気に入ったので採用します。
※「Synth: 05-Lead 2」単体ではこんな音
これは単体では結構揺らいでる感じの面白い音色なのですが、しっかりした「Solo1」に重ねて使うことで表情を付ける役割に回ります。
ここでひとつポイント。
「Solo1」はポルタメントがかかっていませんが「Lead2」にはかかっています。
このままでも何も感じなければ問題ありませんが少々気持ち悪いのでここは潔くポルタメントを0%に揃えることにしました。
あとは、同時発音数を曲に合わせて減らしておくとCPU節約になります。

DreamStationは3オシレーターのシンセですから×2で6オシレーター。
重要なのは数ではありませんが十分な音の豪華さです。
2台のパンを少しズラしてステレオ感を演出するなどの小技を使いつつ、最後にエフェクトをかけて完成。

●サンプルソング

ほとんど選ぶだけの簡単操作で、手軽に、素早く、リード音色が完成しました。
デジタルシンセらしい煌びやかな音色でなかなかカッコイイのではないでしょうか?
このちょっと、使い古された「チャライ感」みたいなものも私は結構好きなのですが(笑)
今回はエディットの必要性を感じなかったのでしなかったまでですが、場合によってはカットオフやオシレーター波形を曲に合わせていじってやりましょう。
また、気に入った音色が作れた時に自分だけの音色として保存しておくこともオススメします。次回以降自分好みのテンプレートとして利用出来ます。

ゼロから自分で音色を作り出していくのも非常に面白いものですが、今回のようにプリセットを手早く選んで、豪華にしたければさらに重ねて…という技もかなり現場的に有意義なので、シンセを使う上でのひとつのアプローチとして覚えていく価値はあると思います。

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