実践音色作り!

変調利かしてキラキラ☆ベル

変調利かしてキラキラ☆ベル
使いたい場面は結構あるのになかなか良い音を作れるシンセの少ないベル音色。
こういった煌びやかで複雑な倍音を持った音色というのは本来DreamStationのような減算式シンセには苦手分野なのです。
どういうシンセが得意なのかというと、周波数変調機能を持ったシンセ、いわゆるFMシンセです。
しかし思い起こしてみると、DreamStationにも周波数変調機能がありました。
ここではそのFMやringなど変調を駆使して、単純なアナログシンセではなかなか得られないキラキラサウンドを作ってみたいと思います。

今回のセッティング↓



1.オシレーター2と3をONに、オシレーター全て正弦波を選択。

ここで気付いて欲しいのは、普通正弦波のみではその後音のバリエーションを作れないという点です。
倍音がたくさん出ていればフィルターで削ることで音は変わりますが、正弦波は倍音を含みません。
そこでFMさん登場。

2.[FM]を100%、SYNCとRINGをONに。

はい、一気に変調をかけました。実は細かい意味とか理由は無いです。

3.オシレーター1のtuneを-100%、2と3のtuneを50%に設定。

キラキラベルということで、高音域を使うため2と3のチューニングをオクターブ上げておきます。
1だけ物凄い下がったんですが、実は[SYNC]によって強引に2のチューンに合わせこまれるので、実際に低音が出るわけではありません。
つまり変調効果のための-100%なんです。その値は別に-100%でなくても、好みで決めてしまって構いません。
この時点でかなり複雑な音になっていますね。変調は完成です。

4.アンプでDとRを80%、Sを0%に設定。

エンベロープの設定ですね。いわゆるピアノタイプが基本ですが、ここでひとつポイントはディケイとリリースが同じ値であるということ。
こうしてやると、ノートオフのタイミングに関わらず発音から消え入るまでの時間が一定になります。
ベルというのは普通カーンと叩いてそのままですからいつでも音の長さが一定ということになりますよね、それをシミュレーションするわけです。
ただ別に実存する何らかの楽器をしっかり真似る必要性など無いので、リリースは短くしてしまっても大丈夫です。
リリースが長いとノートがかぶった時に不協和音になりがちですからね。
そんなのもベルとしては「らしい」んですが、せっかくのシンセなので自分に合う理想の楽器を仮想的に作り上げるのも良しということです。
リリースを残したい場合は、打ち込みでしっかり音が消え入るまでの長いノートにしてやればいいだけです(その場合ディケイ値が重要になります)。
まぁ、こういったベルタイプ(叩き物系)のエンベロープというのも覚えておくとどこかで役に立つかもしれません。

5.フィルターをONにし[HP]を設定、cutoffを70%に。

ここまでの時点で鳴らしてみた方は気付いたかもしれませんが、なんとなく音がノイジーなんですよね。
複雑な周波数変調というのはどうしてもノイズを生んでしまいがちです。
ある程度は仕方無いとしても、ベルに重要な高音域以外の低い音のノイズはこのようにハイパスフィルターで切ってしまうという手もあります。
バンドパスフィルターというのもアリですね。
これでベルは一応完成。これだけでは少々質素だと感じた場合はリバーブやコーラス等エフェクトをかけてやりましょう。かなり音が美しくなります。

●サンプルソング

どうでしたか? 周波数変調の世界。
使っているのは倍音を含まない正弦波だけのはずなのに、最終的にはとてもキラキラしたサウンドが生まれました。
今回は変調の効果をわかりやすくするためにオシレーターでは正弦波のみを使いましたが、他の波形を使うのも当然オッケーです。
またフィルターをノイズを抑える用途だけでなく積極的な音作りに使うのも面白いでしょうね。
ベルにフォルマントフィルターで声の要素を付加…なんて変わったことも可能なわけです。
単純なアナログシンセではこのような複雑な倍音は生まれないですし、また単純なFMシンセでは波形が正弦波しか使えなかったりフィルターが無かったりします。
そう考えるとDreamStationのように両者が融合しているシンセは強力ですよね。
まぁ、最近はFMなんて多くのVAが持っていて別に珍しくもないですが…

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