実践音色作り!

なんちゃってビンテージサウンド

なんちゃってビンテージサウンド
DreamStationの使い方のひとつのポイントに「往年のアナログシンセの再現」というのが挙げられると思います。
何しろアナログフィジカルモデリングソフトウェアシンセサイザーですから。
アナログシンセといえば、一般的なイメージとしては太くてしっかりしたコシのあるサウンド。
今回はそんな「いわゆるアナログシンセ的な音」をDreamStationで作ってみたいと思います。
どのシンセのどの音にメチャクチャ似せるとかそういうことが目的ではないので、悪しからず。

今回のセッティング↓


1.オシレーター2をONに。1と2共に鋸波を選択。

まずはシンセオブシンセ、Minimoogをイメージしたリードを作りましょう。
太い音を実現するためにオシレーターをふたつ重ねます。
ただまぁ単純に重ねるだけで大した意味はないので、ひとつだけ使うんでも全然構いません。
ちなみにMinimoogとDreamStationは基本的な仕様が似ていて、開発元も多少は意識したものなのではないかと思われます。

2.フィルターをONにし[LP2]を選択。cutoffを50%、resoを20%に設定。

実はこのフィルターの設定でほとんど決まります。
今回は鋸波の倍音をしっかり抑えつつクセをつけたような感じにしてみました。
好みで色々いじってみてください。ただしその時は、cutoffとresoを別々に考えないように。

3.portaを20%に設定。

ピッチが滑らかに変化するポルタメントで、アナログシンセらしい効果を出します。
しかしDreamStationのこのあたりの仕様には少し物足りない部分が…(詳しくは後述)。

4.polyphonyを1まで下げる。

Minimoogはモノシンセ(最大同時発音数1)なのでそれに合わせここも絞っておきます。
演奏させるフレーズがモノのフレーズなら問題ありませんが、手弾きで演奏する時こちらのほうがわかりやすいですしCPU節約にもなるのでモノシンセのシミュレーションで数値を上げておく必要はありません。

これでリードはとりあえず完成。基本的にはオシレーターで波形選んでフィルターを決めれば終了です。
やはり昔のアナログシンセにはさほど複雑な機能がなく、オシレーターやフィルターのキャラクターで勝負的な感じもあります。
エフェクト処理をする時は、テープエコーのようなものを使ってみるとなお雰囲気が出るかもしれません。


それでは次にベースを作っていきましょう。

ベースのセッティング↓


1.オシレーター2と3をONに。1と2で鋸波、3で正弦波を選択。

基本的には先程のリードと同じ音のままベースに持っていこうと思いますが、しっかりと低音をまかせられるよう正弦波で芯を足すイメージです。

2.フィルターをONにし、[LP2]を選びcutoffを30%、resoを20%に設定。さらにDとgainを30%に設定。

カットオフ周波数はかなり低いところまで下げ、その周辺をレゾナンスで少し持ち上げる設定。
ただローパスフィルタで切るだけでは素っ気無い音になりがちですがレゾンナンスを使うことで粘りのある音になってきます。
そしてエンベロープも使ってみます。この設定では、発音直後のみフィルターが開きアタックを強調しています。
このフィルターの設定で、1.しっかりと粘りのある低音 2.リズミックな演奏に耐えうるアタック感 のふたつを実現したことに注目してください。

3.polyphonyを1まで下げる。

これはリードの時と同様、モノシンセのシミュレートだからです。
DreamStationではポリ数のデフォルトは8ですが、16まで上げることも可能です。エレピ音色などでは有効でしょう。

さぁ、案外簡単に使いやすそうなシンセベースが出来上がりました。
しっかりしていて、かつ適度にアクのあるサウンド。
先程のリードと共に、あぁシンセの音だなと感じさせてくれます。
さらにアナログ要素に凝りたければ、LFOで極微小にピッチやカットオフを動かしアナログの不安定感を出したり、[dist]でローファイテイストにしてみるなんてのもアリですね。
またDreamStationには基本的な減算シンセシスの機能が備わっているので、様々な往年の名機のセッティングを参考にして音色作りをしてみるのもいいと思います。

●リード&ベースサンプルソング



ちょいテク?
リードの音色作りのところでも少し触れましたが、DreamStationのポルタメント関連は少し物足りない部分があります。
ひとつは、重なったノートにのみポルタメントが利くような設定に出来ないこと。
ふたつめは、完全なモノモードにならないことです。
特にふたつめはモノシンセのシミュレート時には決定的で、ノートが重なってもその度にアタックを発音してしまいます。
これがいわゆるモノシンセでは重なったふたつの音が完全に繋がり、ピッチだけが変化するのですが。
今回作ったベースのようにアタック部分でフィルターが開くような設定にした場合、さらにはっきりとわかってしまいます。

モノシンセのように聞かせるための方法としては、アタックに音色変化をつけない上でアタックタイムを遅らせてポルタメントタイムを長めにしてやるなど。
これで案外オケの中ではモノシンセのように聴こえてしまうものですが、音作りが制限されますし苦し紛れではあります。
しかし実は結構直接的に解決出来てしまう方法があり、それはピッチベンドです。
DreamStationの設定に関係なく打ち込みで音の高さの変化をピッチベンドで入力してしまえば、音色は変化せずにピッチだけ変えられます。
強引な方法のようで実は、上記に挙げたふたつの物足りない点が一挙に解決してしまいます。
慣れないと一見手間がかかりそうな方法でもありますが、その分ピッチ変化が自在に設定出来る利点があり、様々な場面で用いられる手法です。

このように、多少のシンセの機能不足は、打ち込みでフォロー出来る場合があります。

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