実践音色作り!

アナログシンセでなりきりエレピ

アナログシンセでなりきりエレピ
FM(周波数変調)を使って複雑な倍音を持ったベルを作れることは、すでにやってみてわかりました。
今度はFMシンセを駆使して作られたエレピ音色、世に言うところの「FMエレピ」に挑戦してみましょう。
かと言って一生懸命FMシンセの真似っこをするのではありません。
DreamStationのキャラクターを活かしつつ、ベルのキラキラとはまた違った感じのお洒落なエレピ音色を作ってみます。

今回のセッティング↓



1.オシレーター2と3をONに。1で正弦波、2で三角波、3で正弦波を選択。

いわゆるイメージが浸透しているFMシンセは、波形が正弦波オンリーだったりします。
なのでここでも正弦波を基本として考えていきます。

2.FMを100%、SYNCとRINGをONにし、オシレーター1のtuneを50%に。

ダダダッと変調です。
ピアノやギター、ベースなどのように弦を弾いたりして音を出すものを「プラック系」なんて言ったりします。
その系統の音は結構複雑な倍音が出たりするので、それをFM等で作ってやります。
手順1でオシレーター2だけ三角波にしたのは、ここで変調を加えても目的とする量まで倍音が増えきらないと判断したため。

3.フィルターをONにし、LP2を選択。cutoffを60%、resoを15%、Dを20%、gainを15%に設定。

カットオフで少し絞り、レゾナンスで中域を強調する感じでクセをつけます。
そしてエンベロープは、アタックで軽くフィルターが開く設定。

4.アンプでDを90%、Sを0%、Rを10%、gainを0%に。

ここは普通に減衰系のエンベロープを作ってやります。
ディケイは好みと曲調に合わせて調節しましょう。
ここまでで大体完成です。

5.LFOをONに。O1、正弦波を選択し、depthを5%、rateを1%に設定。

ここからは味付けです。が、ちょっとの味付けがとても重要。
何をやっているのかというと、LFOでオシレーター1のピッチをゆっくりと、かつ微小に動かす設定にしています。
この説明で音にどういう変化が起きるか想象がついてしまう人はなかなかのツワモノでしょう。
実は、ピッチを動かすと言ってもデチューンがかかるわけではなく、オシレーター1はSYNCによってオシレーター2のピッチに合わせ込まれるので、SYNCによる変調効果だけが変化します。
要するに音色がなだらかに周期的にうねるような感じになります。
エレピによく使われるエフェクトのコーラスやフェイザーの効果と似ていますね。それを本体のLFOでやってしまおうということ。
こういううねり効果はつい深くかけたくなってしまう気持ちを抑え、さりげなく控え目に。しかし効果は確実です。

6.オシレーター3のfineを20%、パネル右下のdistを40%に。そして最後にpolyphonyを16に上げる。

味付けはまだ続きます。
少しピッチのズレたコーラス効果が欲しくなったので、オシレーター3だけを少しズラします。
先程のLFOの細工と違い今度は正真正銘デチューン。
微妙なうねりによる艶と、広がり感が生まれたように思います。この辺りも好みですね。

distは歪みを加えるパラメーターです。今回は過激な歪みが欲しい場面ではありませんが、ビンテージエレクトリックピアノを使っているかのようなローファイ(低音質)テイストを出す試みとして少しひねってみました。
実際には、この音色に対してこのくらいの深さではほとんど音は変わらないのですが、こういう要素を入れては「微妙にビンテージ的な効果を加えてやったぜ、へへ」とニヤニヤするのがシンセマニアというものです(笑)
まぁそれは冗談としても、最終的な音の質感にまで責任を持つというのは大変重要なことだと私は思います。

仕上げは、ピアノという発音数の多い楽器なので同時発音数を上げておきます。DreamStationでは16が最高。
思えばFMのエレピを世に知らしめた名機DX7の最大同時発音数も16ですね。
ここはもちろんそんなに発音数を使わないということであれば下げて構いません。
逆に16では足りないという場合は、同じセッティングのDreamStationを複数立ち上げて発音を割り振りましょう。

●サンプルソング(使用音源は全てDreamStation)

今回のサンプルソングでは、本体での細かい味付けの効果を確認出来るようにエレピのパートはノンエフェクトで鳴らしてあります。
実際に使う時にはトレモロやオートパン、フェイザーなどのエレピ的定番エフェクトを使ってやると、グッと使える音になってくるでしょう。
また変調関係は組み合わせも多様で奥が深いので、バリエーションも色々と作れそうですね。

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