7.マニアックな領域行っちゃう?オシレーター使いこなし オシレーターについてはすでにやっていますが、今までの解説ではとりあえずつまづかずにシンセを楽しく扱えるよう、本筋とあまり関係の無い応用的な部分の説明は省いてきました。 しかしそれらも当然音作りの上では重要なパラメーターたちであり、知っていると知っていないのとでは大違い。 よりマニアックな音色作りをしていくため、DreamStationのオシレーターをマスターしてみましょう。 以前の講座で使った画像に再度登場願いつつ、まず波形について一応紹介しておきます。ここではあまり深く専門的にはやりませんので興味のある方は別で色々調べてみてください。 一応波形の名前クリックで音が聞けるようにしてみました。 パネル左上正弦波(Sine)−倍音を一切含まない波形。 パネル左下三角波(Triangle)−正弦波に近いものの、少し倍音を含む波形。派手でもなくという感じ。 パネル中央上鋸波(Sawtooth)−倍音を多く含む派手な波形。攻撃的な音色作りなどで活躍。 パネル右下非対称矩形波(Pulse)−鋸波とはまた違う感じで、面白い倍音を含む波形。後述のpwidthツマミが右いっぱいである時対称矩形波(Square)となります。ちなみにPulse波が選べるのはオシレーター1のみで、2と3ではSquare固定。 パネル右上ノイズ(Noise)−ノイズです(笑)複雑に倍音を含む。DreamStationのノイズ波形は独自のキャラクターがあると言われます。 そして波形の説明でも少し触れましたが、OSCILLATOR1にある[pwidth]、これはPulse波形を選んだ時のパルス幅を決定するパラメーターです。 パルス幅ってなんぞやという話ですが、まぁ詳しく知りたければ調べてみてください。ここで原理や専門的知識を得たところであまり意味ないので。 要は、パルス幅を変えてやると倍音の感じが変わります。その隣の[pwm]はパルスウィズモジュレーションのことで、パルス幅を周期的に変化させます。ツマミを右にひねるほど変化の周期が速くなります。 なかなかすぐには馴染めませんがとりあえず、オシレーターでPulseを選んだ時はpwidthやpwmを使って波形に変化を与えられると覚えておきましょう。 波形の説明で頭がこんがらがってきたところで、次は簡単なツマミ・スイッチ類。 まず全オシレーターにある[tune]ツマミですが、これはそのまんま、各オシレーターのピッチを設定出来ます。パーセント表示なのが自分にはわかりにくいですが、オクターブユニゾンの音色などをこれで簡単に生成出来ます。 そして2と3にある[fine]、これもピッチ調整なのですが、tuneよりさらに細かく設定するものです。 音程とまでいかないレベルでピッチをずらした音を重ねる「デチューン」なんてテクニックがありますが、そういったミクロの調整はこちらでやるのがわかりやすいです。 オシレーター1にはfineがありませんが、これは1を基準に2と3を重ねるからという考え方でしょうね。 2と3にはVolというパラメーターもあり、これも単純で、そのオシレーターの発音音量を調節します。 そして押すと黄色く点灯する[kbdtrk]これ正式名称…キーボードトラッキングかな。 まぁ名前はいいんですが、これは点灯している状態だと入力されたMIDI信号のピッチ情報によってピッチが変化します。 要するに普通の楽器として振る舞うってことですね。 OFFの状態だと入力されたMIDIノートに関係なくtuneおよびfineで設定した音の高さで鳴ります。 特定のピッチで使われることを想定したパーカッション音色やSEなどで有効でしょう。 なぜオシレーター3に[kbdtrk]が無いのかわかりませんが、どれかひとつならばMIDIノートで指定してやればいいので問題は無いかと思われます。 さて…ここからはオシレーター2に備わった変調機能についてやっていきたいと思います。 これらははっきり言って、原理を説明されても難しいしすぐ使えるものじゃありません。 どう利くかを感覚的に覚えていくことが重要だと思いますので、どういう効果が出るか簡単にやっていきたいと思います。 まずFMツマミ。 FM(FrequencyModulation)はFMラジオなどでよく使われる用語ですが、周波数変調のことです。 この周波数変調を主な音作りの機能としたFMシンセなんてものもあり、それらは明るく抜けの良いサウンドが特徴的ですが、DreamStaionでも多少その要素を加えることが可能になります。 細かい専門的な説明は FMシンセ的に言いますと、このFMを使用した場合OSCILLATOR1がキャリアで2がモジュレータになるようです。 次はS/Rと書かれた上のSyncボタン。 Sはシンクのことで、ふたつのオシレーターを強引にシンクロさせることで独特の効果を生むスイッチです。 オシレーター間でピッチの差がある時にその効果が強く現れるようです。 そしてこれは何を参照したわけでもなく勝手な判断ですが、おそらくDreamStationではシンクの時OSCILLATOR2がマスターです。 つまり、OSCILLATOR1が2のピッチに強引に合わせこまれるのです。 面白い倍音が増えて、場合によってはノイジーな音になったりします。 最後にRing。 Rはリングモジュレーションと言って、ふたつのオシレーター間で作用する変調機能です。 具体的にはふたつの入力信号を受けてその和と差を出力するものです。…が、こんな説明されても結局どういうことなのか全くわかりません(笑) 感覚的に簡単に言うと、不協和な倍音が出てきて金属的な響きが得られるようです。 一般的なアナログシンセサイザーではどうしても足し算引き算の簡単な音になってしまい偶発的で不協和な音というのは出すのが難しいですが、リングモジュレーターを使えば面白いことが出来そうですね。 DreamStationではOSCILLATOR1とOSCILLATOR2に適用されるようです。 さて、オシレーターについてダーっとやってみました。 とりあえず、アナログシンセに親しみたいのならオシレーターの波形それぞれがどういう音なのかをだんだんと覚えていくとよいでしょう。 オシレーターの波形はどのシンセも共通した名前だったりしますが、シンセごとにそれぞれ音の個性があるので、重要な部分です。 変調機能については、この講座でも何回かこんなことを書いてますが読んですぐ「おぉそうなのか」と使えるものじゃありません(笑) アンケートをとったわけではありませんが、日常的にシンセに親しんでいる人でもこれらをしっかり理解している人なんてそう多くないのではないかと思います。 そんな私も本講座のために改めて勉強した人間です。全然偉そうに教える立場ではないようです(笑) ただこれらの変調機能が使えると非常に強力であることは確かです。 いわゆるシンプルなアナログシンセは減算式シンセシス(オシレーター波形の倍音を引いていって音を作る)が多いですが、DreamStaionでは変調を使い様々な倍音を付加することが可能なので、ただの減算式シンセにない過激で攻撃的な音作りも可能なのです。 例えば正弦波だけでもFMやリングモジュレーションでバリエーションが作れます。 当然それらを強力なフィルターで加工(減算)してやることも可能。この辺の柔軟性はDreamStaionの特徴と言えるかもしれません。 |
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