DreamStationを使ってみよう!

その8〜フィルター使いこなし〜

8.アナタももうシンセマニア、フィルター使いこなし
さて、前回のオシレーター使いこなしでは波形の種類や変調関係でかなり頭が混乱したことでしょう。
今回のフィルター使いこなしは前回に比べたら簡単なのでご安心を。
ついでに、これで講座は一応終了です。DreamStationの全パラメーターの説明を完了することになるからです。
一応その後「扱いがわかった上で、どう使うか」の応用講座までやる予定ですが、そこから先は個人で自由にやればいい範囲だと言えます。


前置きはともかく、今回はフィルターについてこれまでやっていない部分について。
しかしローパスもハイパスもバンドパスもADSRもわかっている今90%はフィルターを理解していると言えるかもしれません。
ここではまずフィルターモード選択パネルの右下の空白ボタンについてやってみようと思います。

はい、空白ボタンと書きましたがパネル下に[kbd]と書かれています。ポチっと押すと黄色く点灯します。
これはいわゆるキーボードフォローで、音階に従ってフィルタリングを変化させるスイッチです。
わかりやすく言うと、普通フィルターというものは帯域に対して絶対的にかかっているものですが、この[kbd]を利かしてやると音のピッチが上がるとそれと一緒にフィルターのカットオフ周波数も上がるというものです。

例えばローパスフィルターをかけた状態ならば、「ドソドソド(上昇で)」なんていうふうに勢いよくかけ上がっていくフレーズなんかの時、当然ならが高音域に行くほど音が抑え込まれて音量が下がってしまうのです。
それだけでなく上に行くほど音が死ぬので、最初の「ド」の時点では比較的倍音が出ていたものが最後の「ド」では全然聞こえなくなってしまうなんていう事態もありえます。
そこでキーボードフォローを有効にすると、最初の「ド」から最後の「ド」ではノートが2オクターブ上がったのに伴いカットオフも2オクターブ上がります。
各ノートに対してのフィルターの利きが相対的に均一であるため、音域によって音量が下がったり倍音成分が変わったりすることがありません。
音域によって音が変わってほしくないが、音色調整のためにフィルターは使いたいなんて場面に有効かと思われます。

●普通のローパスフィルターの音→[kbd]オンの音のサンプル


最後に必殺フォルマントフィルターをやりたいと思います。
まぁ赤字太字にしてみたものの、要するにローパスやハイパスなんかと同じフィルターのモード。パネルで[FMT]と書かれているものです。
こいつの正体を一言で言うと「人の声のような効果を演出するフィルター」です。
人の声の周波数成分に近い帯域だけを通過させる働き。
まぁ「必殺」と言うのにはそれなりに理由がありまして、このフォルマントフィルターを装備しているシンセってそんなに多くないんです。
他に同じ名前の機能を持ったシンセがあったとしてもローパスフィルターなんかと違って定番な機能ではないのでシンセごとにフォルマントフィルターのキャラクターもかなり違ってくると思うんですよね。
なので独自性が出せる部分と思われるのです。そこで「必殺」。

●フォルマントフィルターを使ったサンプル

使い方はもちろん[FMT]を押してやるだけなんですが、一応言っておきますと物凄い人の声そっくりな音が飛び出すわけではないので悪しからず。
あくまでシンセ音に人の声のような要素をミックスして面白い音を作り出すための機能と考えたほうがいいでしょう。
こんなこと思わないと思いますが、「そんな機能があるならDreamStationで荘厳なクワイヤを再現しよう!」とか思ってもうまくいかないと思われます。
このフィルターなかなか面白いです。無理に人の声というイメージを持って使う必要はありません。
ただノートのピッチがちょっと変わるだけで利き方がガラっと変わるので、整った効果を出したい時には前述のキーボードフォローを有効にしてやるのが良いでしょう。


フィルターについて簡単にまとめますが、ローパス(1&2)/ハイパス/バンドパス/フォルマントとモードがあり、利き方はCutoffとResoで調節。
利きの時間的変化についてはADSRで調節し、Cutoffをノートに対して相対的に利かせたい場合は[kbd]をオンにしてやる、ってな具合です。
ちなみにADSRの横にある[gain]ですが、HELPにこれに関する説明を見つけられなかったので断言は出来ませんがADSRの利き具合を調節するパラメーターのようです。

倍音を引いていって音を作る減算式シンセシスにおいてフィルターというものはとても重要ですが、DreamStationのフィルターはなかなか良いと思います。
フィルターでしっかり音が消えてくれないシンセというのは音作りがしにくいですからね。
またフォルマントフィルターなんて面白いものもあり、これは外部の音も通してみたくなります。

その7へ←   →その9へ

Home    Columnへ戻る

(c)2005 kuro All Rights Reserved.